報酬改定の基本的な方向性~Part2~

令和5年12月6日に障害福祉サービス等報酬改定検討チームより発表された
「令和6年障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について」より
注目ポイントをまとめております。
Part1からの続きとなっておりますので、Part1をまだご覧になっていない方は
こちらからご覧ください!


目次

Ⅱ.社会の変化等に伴う障害児・障害者のニーズへのきめ細かな対応

①障害児に対する専門的で質の高い支援体制の構築

【主な改定項目】
(1)児童発達支援センターの機能強化等による地域の支援体制の充実
〇障害特性に関わらず身近な地域で支援を受けられる体制の整備
〇児童発達支援センターの機能・運営の強化


(2)質の高い発達支援の提供の推進
〇適切なアセスメントの実施とこどもの特性を踏まえた支援を確保する観点から、支援において、5領域を全て含めた総合的な支援を提供することを基本とし、支援内容について、事業所の個別支援計画等においても5領域とのつながりを明確化した上で提供することを求める
〇総合的な支援と支援内容の見える化を進める観点から、事業所において、5領域とのつながりを明確化した事業所全体の支援内容を示すプログラムの策定・公表を求めるとともに、未実施の場合の報酬の減算を設ける
〇個別支援計画に定めた個々の利用者の支援時間に応じた評価が可能となるよう、支援時間による区分を設ける
〇放デイにおいて、こどもの状態等もふまえながら、通所や帰宅の機会を利用して自立に向けた支援を計画的に行った場合の評価を行う(公共交通機関の利用など)
〇放デイにおいて、高校生について、学校や地域との連携の下、学校卒業後の生活を見据えた支援を行った場合の評価を行う(職業体験など)


(3)支援ニーズの高い児への支援の充実
〇医療的ケア児・重症心身障害児への支援の充実
〇強度行動障害を有する児への支援の充実
〇ケアニーズの高い児への支援の充実
〇継続的に学校に通学できない児童(不登校児童)への支援の充実
〇居宅訪問型児童発達支援の充実


(4)家族支援の充実
〇きょうだいへの支援も促進されるよう、家庭連携加算及び事業所内相談支援加算において、きょうだいも相談援助の対象であることを明確化する
〇事業所内相談支援加算について、家族のニーズや状況に応じた支援の提供を促進する観点や、オンラインによる相談援助を推進する観点から、評価の見直しを行う
〇児発・放デイの基本報酬の評価において、延長支援加算を見直し、一定の時間区分を超えた時間帯の支援について、預かりニーズに対応した延長支援として評価を行う


(5)インクルージョンの推進
〇児発・放デイにおけるインクルージョンに向けた取り組みの推進
〇保育所等訪問支援の充実
(訪問支援時間に下限を設定する。自己評価・保護者評価、訪問先評価の実施・公表を求める)

   
(6)障害児入所施設における支援の充実
〇早期からの計画的な移行支援を促進する観点から、15歳以上に達した入所児童について、移行支援に係る個別の計画(移行支援計画)を作成し、同計画に基づき移行支援を進めることを求める
〇家庭的な養育環境の確保を推進する観点から、できる限り良好な家庭的な環境の中で支援を行うよう努めることを求める
〇福祉型障害児入所施設の基本報酬について、利用定員規模別の報酬設定をきめ細かく設定するとともに、大規模の定員区分について整理を行う


(7)障害児相談支援の適切な実施・質の向上や提供体制の整備
〇質の高い相談支援を提供するための充実・強化

②障害者の多様なニーズに応じた就労の促進

【主な改定項目】
(1)就労移行支援事業の安定的な事業実施
就労移行支援事業所の利用定員を見直し、定員10名以上からでも実施可能とする
〇支援計画会議実施加算の見直し


(2)就労継続支援A型の生産活動収支の改善と効果的な取り組みの評価
〇スコア方式による評価項目の見直し
・労働時間の評価について、平均労働時間が長い事業所の点数を高く設定する
・生産活動の評価について、生産活動収支が賃金総額を上回った場合には加点、下回った場合には減点する
・事業者の経営改善への取組が一層評価されるよう、「生産活動」のスコア項目の点数配分を高くするなど、各評価項目の得点配分の見直しを行う
・利用者が一般就労できるよう知識及び能力の向上に向けた支援の取組を行った場合について新たな評価項目を設ける
〇経営改善への取組状況による評価


(3)就労継続支援B型の工賃向上と効果的な取り組みの評価
〇平均工賃の水準に応じた報酬体系の見直し
・工賃の更なる向上のため、平均工賃月額に応じた報酬体系について、よりメリハリをつけた報酬設定に見直す
・「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系について、収支差率をふまえて基本報酬を見直す
・多様な利用者への対応を行う事業所について、さらなる手厚い人員配置ができるよう、新たに人員配置「6:1」の報酬体系を創設する
・目標工賃達成指導員配置加算を算定している事業所が、工賃向上計画に基づき、工賃を実際に向上させた場合に加算で評価する
〇平均工賃月額の算定方法の見直し


(4)就労定着支援の充実
〇就労定着支援事業所の実態に応じた報酬設定とするため、利用者数に応じた報酬設定ではなく、就労定着率のみを用いて算定する報酬体系とする
〇就労定着支援終了にあたり、職場でのサポート体制や生活面の安定のための支援体制の構築を十分に行わない場合は減算を設ける


(5)効率的な就労系障害福祉サービスの実施
一般就労中の障害者が就労継続支援を一時的に利用する際の評価について、A型のスコア評価項目となる平均労働時間及びB型の平均工賃月額の算定から除く
〇地方公共団体の事務負担軽減のため、報酬請求にあたっては、施設外就労に関する実績について、事業所から毎月の提出は不要とする
〇令和7年度より基礎的研修が開始されることに伴い、就労移行支援事業所の就労支援員及び就労定着支援事業所の就労定着支援員は基礎的研修の受講を必須とする。
※基礎的研修を受講していない場合でも令和9年度までは経過措置として、指定基準を満たすものとして取り扱う


(6)新たに創設される就労選択支援の円滑な実施
〇令和7年10月以降から、就労継続支援B型の利用申請前に、原則として就労選択支援を利用する
〇人員配置・要件について
・就労選択支援員を配置することとし、就労選択支援の利用者に対するサービス提供時間に応じた配置とする
・就労移行支援または就労継続支援と一体的に就労選択支援を実施する場合は、就労移行支援等の職員及び管理者が兼務できる
・就労選択支援は短期間のサービスであり、個別支援計画の作成は不要のため、サービス管理責任者の配置は求めない
・支援の質を担保する観点から、就労選択支援員養成研修の修了を就労選択支援員の要件とする
支給決定期間は1か月を原則とし、自己理解等の改善に向け、1か月以上の時間をかけた継続的な作業体験を行う必要がある場合は、2か月の支給決定を行う
〇就労選択真の基本報酬も就労移行支援事業と同様に、サービス提供日に応じた日額報酬とする


最後までご覧いただきありがとうございます。
次回のPart3(こちらから)でまとめが終了いたします。
そちらもぜひご覧くださいね。

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    この記事を書いた人

    行政書士織田ゆか事務所
    代表 織田由香

    障害福祉事業専門の行政書士として
    事業所さまに「正しく・楽しく・継続的に」
    運営を行っていただけるようサポートを実施

    ≪セミナー実績≫
    報酬改定はじめの一歩セミナー

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